2021年9月4日土曜日

最近のインフルエンザ感染数が激減したのはマスク着用とは明確に無関係

 最近、ユーチューブで「コロナの真実「現実の裏に隠された闇」(アキラボーイズストーリー #1,2021.04.14)」という記事を見ました。この方(アキラ氏としておく)は若者で何かの会社の代表をしているようです。事業所の代表という者は、政府や地方公共団体からの事業所への制限によって多大の迷惑をこうむるので、いろんな方が、結構コロナのような専門的な内容に関しても真剣に情報や経緯を調査・考察しているようです。僕も小さいながらも事業所を主宰していますのでわかります。アキラ氏の記事の冒頭に、箇条書きの項目が列挙されています。

 1,なぜ政府はコロナに対応できないのか?

 2.なぜコロナ感染者が増えたり減ったりするのか?

 3.なぜインフル感染者が0に近いのに、コロナはなくならないのか?

 4.なぜテレビは恐怖をあおる情報しか出さないのか?

 5.なぜワクチンがこんなに早く出来上がったのか?

6.ワクチンが出来たのに、なぜまだ謎のままなのか?

 

 アキラ氏の意見は、①~④のすべては⑤につながっているというもので、特殊なワクチン(新技術なので高価である)を製造することによって(大企業や世界金融業者による)莫大な金儲けのための陰謀だということです。この陰謀論は、この人の話のような単純・直線的なものとは思えませんが、結果的には、そして部分的には、そのように思えます。(  )は私が挿入したものです。

 ただ、このうちで、②と③については、この医学的には素人と思われるアキラ氏の判断力が的を得ていると思うので、このブログの導入に挙げました。

 曰く、②につていては、東京都の場合の例として、(行政上の判断で)意図的に検査数を増やしたり減らしたりした方針の結果で陽性者数が増えたり減ったりしているだけだ、ということです。 (  )は私が挿入したものです。

 曰く、③については、「風邪症状がでたら、(民衆も行政も)コロナかどうかに関心を集中させて、インフルかどうかについては無頓着だからだ」、ということです。(  )私が挿入したものです。

 どちらについても、当該検査数の実施数の多寡に決定的に影響を受けてしまっているという主張です。今や、こういう考えの人は多くなっているように思われます。

これは私の考えと同じです。それは、8月13日の本ブログの「米国CDC「現行のコロナPCR検査の適用は年内で終わる」という記事」のところで議論している通りです。 

ただ、このアキラ氏の記事の③に触発されて、8月13日のブログで抜けていた議論に気付きました。それをここで明記しておきます。

世間だけでなく、臨床医や基礎医学研究者という専門家であるはずの人々が、安易に主張しているような、「コロナ禍に触発されてマスク着用をちゃんとしていたから、インフルエンザは増えなかった。このことによって、一般的にマスク着用は感染防御に大変有効だということが再確認できたはずだ」という意見は頭の中がスカスカではないかと思うのです。こういうことを恥ずかし気もなく発言する医師などは、教科書に全部教えてもらって、教科書の一部は実は違うかもしれないという学習の仕方の習慣がない人たちです。まあ、素人とよい勝負です(私は、マスク着用そのものは、「適材適所的」には意味が大変あるものだと思ってはいます)。

何故かといえば、感染力については、インフルエンザも新型コロナも似たようなものです。ともに、「感染力はかなり強い方に属する」という病原体です。インフルエンザも新型コロナも特定の変異株によって感染力に強弱はあるにせよ、総体的に同じような感染力レベルであることは間違いがないはずだと思います。インフルエンザの方が感染力は相対的に強いのではないでしょうか?

日本において、マスク着用がインフルエンザ感染を劇的(桁違い)に減らしたのであれば、何故、コロナ感染は抑えられなかったのか??? コロナ感染がコントロールできず、インフルエンザが劇的に減っているということは、大筋としてはマスク着用とは無関係であるようだということは小学生でも判るはずのことです。 むしろ、精神が予備知識や先入観で汚染されていない小中学生の方が判りやすいのかもしれません。

 そして、その原因の(全部とは言わないが)最大の要因は、両者への関心の過大と過少にあり、その結果としての両者への検査実施数の多寡にあると思うべきであります。他に、どういう要因があるというのでしょうか。

 こういう要因をもたらした理由として私が考えることは以下のようなことです。日本という国に限れば、それはアキラ氏の項目にもあるように、マスコミの煽りに政府が負けてしまうからです。今までの状況では、強大なマスコミに逆らうと選挙に負けてしまうからマスコミの誘導に逆らえないのです。安倍政権でも菅政権でも、あまり規制はしたくなかったように思われます。マスコミに逆らえなかったという点で、だらしないと言われても仕方がないと思います。一方、世界的視野に立てば、IT技術の超絶な進歩により国際的な強権を獲得し出したグローバルな経済勢力による陰謀かもしれないと疑っております。この点はアキラ氏とよく似た考えだと思います。ただ、日本政府や東京都や日本のマスコミがそういう筋と直線的な関係にあるとは思えません。


(追記:2021.09.10)

 冒頭のアキラ氏による6つの疑問に対して、私がコロナに関するブログを書き始めた1年半前からの変わらない判断を書いておきます。

 1,なぜ政府はコロナに対応できないのか?

   基礎研究者も臨床医学者も政治学者も官僚政治家も、誰も、このコロナについて「どうしたらどうなる」ということが実は判らないからです。コロナについても、個々の場のことでもそうですが、特にマクロ政策の結末がどうなるかは誰も確定的なことは判らないことは、医学・医療に造詣がなくとも長年人間を生きてきて社会の歴史を知れば判ることです(歴史からの帰納)。「こうしたらこうなる」と解った風なことを言うのが間違いなのです(イデオロギーや期待的論理からの演繹)。「当面こうして様子を見たい」という姿勢でことを運ぶのが正解だろうと思います。その場合、当面裏目に出てもそれをもって行政を責めてはいけないと思います。方針を変更してまた様子を見るほかはないと思います(スウェーデンでの対応はこういう哲学が機能していると僕は以前から評価してきました)。しかし、判った風なことを言って「副作用」の大きい強制的な諸政策をすることを私は責めたいと思います。ただ、政府(それに、個々の地方自治体の首長)もマスコミや民衆からのポピュリズム圧に屈しているように思われます。そして、なんとか諮問委員会~なんとか分科会の尾身さんというのが立場上で一番ヤバい奴だと私は思っております。尾身さんの履歴を調べました。彼は、自治医科大学出身です。この学校では卒後プラン上で最初は地方における実地医療の経験をされているようですが、かなり早期に行政畑に入ったようです。その後、WHOにコミットした仕事をされているようです。医療行政の世界ではヒエラルキーの上層部に値する経歴なのでしょう。本質的には医師というよりは官僚と思われます。不肖ながら私は彼の言動を信用できません。

 4.なぜテレビは恐怖をあおる情報しか出さないのか?

   次のうちのどれが基本か判りませんが、「視聴率を上げること」「不安を煽ること」「安心だとはほぼ絶対に言わないこと」が絶対的な立場だからでしょう。「皆さん、いろんな情報を提供しますので、ご自分自身でよくお考え下さい」ということには絶対にならない。加えて、多くの大手マスコミは基本的に「左翼活動をしている結社」だから、必ず保守政権を公平さを欠いた仕方で徹底的に攻撃します。私は「自民党はひどいので怪しからん」と思うのですが、「左翼野党はもっととんでもない」と思っています。そういう人が相対的に多いから曲がりなりにも自民党が選挙で政権をとっているのでしょう。そういう状況の中で、大手マスコミは左翼政党の主張や反日姿勢の中共政府や韓国内の主張だけを声高に報道するのです。相対的に多い部分の有権者が何故こういう姿勢の大手マスコミを拒否しないのかが不思議ですね。私は、TVのニュース・報道番組・ワイドショーを数年前からは見ないようになりました。それで、世間のことは少し遅れて知ることが多いです。二つの新聞とネットニュースとユーチューブで情報を入れています。2種類の新聞を見比べると新聞社の姿勢をチェックできて興味深いものです。新聞から情報を受けると同時に新聞をチェックしています。新聞の場合はTVほどは腹が立たないのです。

 5.なぜワクチンがこんなに早く出来上がったのか?

   mRNAによるワクチンの開発には既に長い歴史があるようです。その開発研究者を山中伸弥氏がインタビューしている1時間弱の番組を見る機会がありました(=2021年7月15日・ETV特集「世界を変える大発見はこうして生まれた カリコ X 山中伸弥」)。最初は、動物に注射すると当初から強い炎症が生じてお先真っ暗だったとのことです。年月をかけて、化学修飾を加えたりして炎症を起こらなくしたという話でした。アキラ氏の情報では、生体内での安定化のために種々の脂質で保護しているということを述べていました。つまり、もともとコロナ以外の対象にいろいろ試行錯誤で開発してきていたのです。私自身は、今のところ、これに関する原論文の類は見ていません。

   もともとは「箸にも棒にもかからなかった」ものに時間をかけて工夫をして成功したというものです。学問的には、非常に高くされる研究だと私も思いますし、山中先生の ips細胞の研究のようにワクワクと知的好奇心をそそる仕事だと思っています。その一方で、その複雑な化学的操作によって曲がりなりにも出来上がったとする製品は、僕には「潜在的に大いに問題が起こる余地があるのではないか」と心配する所以です。僕はこの領域では素人ですが、やはり問いたいのです。「絶対にとは言わないでも(絶対ということばは僕はあまり使いたくはないのです)、絶対と言いたいほどに問題の極めて少ないものだ」と本当に言えるのか??? 論文のデータはそのように示しているかもしれないが、「どの領域の論文であっても、後日に問題が指摘されることもある」という歴史の教訓を多少は念頭に入れておかないといけないと僕は思うのです。そして、研究室内でのデーターによって確率的には問題がほぼないとされても、僕自身は接種したくないという意志(ひょっとしたら希望とされてしまう?)は捨てられないのです。

   新型コロナに対しては、1年も経つか経たないうちに英国などから使用承認がされたのでしたか。普通はどんな新しい機序の治療薬や予防薬に対して、こんな早く承認するような流れではないと思われます。短期・中期・長期の副作用や不都合な結果についての慎重な見極めを怠っているからでしかないのは明らかだと思います。アキラ氏も同じ考えだと思います。これは「超法規的」な方針なのです。「超法規的」な方針というのは、「将来のことは言っていられる状況ではないから、とにかく今を凌がないといけない」ということのはずです。これは場合のよってはあり得ることでしょう。それは、「将来のことは言っていられない状況」という認識であるほどのことのはずです。日本でのコロナ被害の程度でこういう「超法規的」な対応をすべきなのでしょうか?とずっと疑問を持っています。一方、世界のことは私には判らないことが多過ぎますが、日本よりもっと被害が大きい諸外国でも、こんな位置付けのワクチン(「超法規的」承認)を迷いもなく導入するのはどうかなあと思います。多少は迷うべきだと思います。

  インフルエンザに対するような普通のワクチンの製造は、実は!、可能なのではありませんか(有効率は相対的に低いとしても)? とりあえずは、ある程度以上の量の培養に成功したどれかのコロナ株を使用して普通のワクチンは作れるのではないでしょうか? 同様に変異株の発生するインフルエンザに対しても、次善の策(?)として、前年に流行した株を用いてワクチンを製造しているではありませんか。それと、じゃあ、何故インフルエンザにはもっと有効率が高いというmRNAワクチンを導入しなかったのか? 物理的にはできたはずだと思います。僕は、これは理屈だけではなくて、敢えてこういう仕組みのワクチンを導入せずに、まあボチボチやってきたそこそこのワクチンで社会はそれなりに混乱せずに済んでいたから可としていたように思います。ロックダウン的な社会規制(社会的およびコロナ以外の健康的な事象における確定的な副作用がもたらされる)とこのmRNAワクチンのありうる強制的導入(特に、ワクチンパスポートという人権侵害の疑い)とPCR検査のありうる強制的実施(これにも検査パスポートのような実態がありうる)は思想的にリンクしていると感じます。私は何でも自由であるべきだという考えでは全然ない立場の者であり、国家や地方や家庭のまとまりは大切だと思う者ですが。インフルエンザの場合はそういうことをせずに済ませてきました。

  それはそれとして、いずれにしても、「ワクチンで決定的解決ということではない」ということも「イロハのイ」と認識していないといけないと思います。「ゼロ目標」(=一般的に馬鹿げている)を導くものではなくて、限定的ないし相対的な効果と思っておかないといけない。「あの治療薬が適用されれば、それは決定的だ」という話も「とぼけた話」です。そんななずはないことは長いこと人間を生きてきて歴史を知れば判ることです(前述の帰納作業)。数十年の長い歴史を持つインフルエンザの近代的な対策において、そういう決定的なワクチンや決定的な治療薬が日の目を見ましたか? 未だにそれは無理なのです。そして、毎年多くのインフルエンザによる被害者が出ているのです。 限定的な予防効果や治療効果を期待してこういうのを受け入れてきただけです。やはり、後は運不運と個人の対応に任されているのです。

  昔のスペイン風邪や最近のSARSにおいては、流行が収まった理由は人力ではなかったと思われます。このコロナの事象においても残念ながら人力はまだまだ絶対ではなくて、「時」が過去の流行病を抑えてくれたという歴史の繰り返しであったことを冷静に謙虚に思うべきだと思います。そうして、もうそろそろそのタイミングは近いと私は期待しています。多分、「時」というのは、ウイルス自体側の自発的な変質と宿主側の集団免疫的な機構が働くのだろうと思います。

6.ワクチンが出来たのに、なぜまだ謎のままなのか?

  これは(1)と同じ議論になります。

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