2021年8月21日土曜日

2つの投稿における「偽陽性率」の誤記を「陽性非適合率」に訂正します

コロナ検査の陽性・陰性の結果における議論において、種々の用語を使っています。いずれの用語にもその定義があります。この一連のブログで、検査の「感度」「特異度」「真陽性」「偽陽性」「真陰性」「偽陰性」という用語を使っています。これらの用語と、集団全体の「陽性率」(または「陽性者率」)「陰性率」(または「陰性者率」)という用語の使い方には間違いがないと思います。 

しかし、このブログの議論において重要な因子として用いた「偽陽性率」という用語は、完全に間違いであることに今しがた気付きましたので、恥ずかしながら訂正します。チェックした結果、誤記した投稿は「現状のコロナPCR検査結果で判ること(「公的な」ネット公開資料による」と「その続編」の2つだけだったと思います。誤記した投稿は書き換えました。

間違いに直ぐに気付いた方々は少なくないと思われますが、コメントを受け付けておりませんでしたので、長い間、気付きませんでした。

正しくは、「偽陽性率」=偽陽性 / 真陰性+偽陽性です。それは、陰性であるべき集団(=真陰性+偽陽性)の中での「間違い結果」の比率のことでした。 

この一連のブログでは、「偽陽性率」=偽陽性 / 真陽性+偽陽性、として計算していました。というより、偽陽性 / 真陽性+偽陽性という因子に重要な関心を払ってきましたが、それを「偽陽性率」と間違って表現してしまったということです。 

成書には、「陽性的中率」=真陽性 / 真陽性+偽陽性、という用語が定められています。それ故、僕の関心を持っている因子である「偽陽性 / 真陽性+偽陽性」=「1-陽性的中率」というのが学問的に正しい表現のようです。なお、「陰性的中率」=真陰性 / 真陰性+偽陰性、となっています。 

今後の訂正においては、このブログで誤記していた「偽陽性率」というところは「1-陽性的中率」に訂正するのが正解でしょう。しかしながら、これは、スマートな表現ではないし、使いたくありません。そこで、このブログにおいては、苦し紛れとして「陽性非的中率」という表現にしますので(正式用語ではないかもしれません)。 

 何故、こういうややこしい記載事態になってしまったかについて、言い訳的な説明をしたいと思います。 

僕の方は定義から出発しているのではなく、現実の検査結果の統計数値から議論しているのでした。集団の疫学データー自体からは陽性者数と陰性者数しか判りません。だから、分母全体が陽性者全体(陽性的中率の場合)や陰性全体(陰性的中率の場合)の数値からは、いろんな疫学的推論が可能です。

一方、分母に「真陽性+偽陰性」(感度の場合)とか「真陰性+偽陽性」(特異度の場合)などは、集団の疫学データー自体だけからは不明な数字です。これらは、他の場での解析的なデーター(特に、研究室内でのin vitroの実験結果)を参考にして初めて示されるものです。ただ、もし、その解析的なデーター自体に間違いがあったり、実験条件が社会状況を正しく反映していなかったりの場合は、この値も信用できなくなります。この場合は、今回のコロナ騒動においても十分ありうることでしょう。 

僕は、「陽性結果の者の中にはどれだけの偽陽性者がいるのか」という点を問題としていたので、「偽陽性 / 真陽性+偽陽性」という因子がキーポイントでした。これを、つい、「偽陽性率」と間違ってしまいました。 

(追記1)

ところが、例外的に(?)、陽性者数・陰性者数だけの情報で特異度が推定できるように思った場合がありました。そのことは、「この1年余のコロナPCR検査問題の総括―その3」(2021.06.08)の投稿と「この1年余のコロナPCR検査問題の総括―その3続編」(2021.08.12)の投稿のところで議論しています。 

(追記2)

僕らのような末端の実地医家は、腫瘍マーカーや甲状腺機能低下症などの臨床データーを治療の参考にしますが、特異度・感度などは検査開発者が先に示していますし、実際の場面ではあまり統計学的な定義を日常の取り組みの中で扱うことは少ないですね。それよりも、むしろ、異常値と正常値との境界の「基準値」をもって、診断の参考にしていることが実際的です。この時に、特に問題になるのが基準値付近の検査値の場合です。つまり、陽性や陰性は明確な境界はないのです。統計学的な「平均値」と「標準偏差」や「標準誤差」という指標を参考にして基準値の信頼度を確保しようとしているわけですが、個々においては外れることがあるのは当たり前というのが前提です。それ故、こういう臨床検査値だけで診断を決めてしまうことは乱暴なので、注意が必要です。ただ、非常に高度の異常値が出た場合は臨床検査に依存する程度は非常に高くなることは確かです。

 (追記3)

また、これと次元の違う話としては、臨床検査の結果を基に治療方針を決定する際に、患者本人が治療に同意しなかったら医師のしたい治療(本人に有益だと医師が思った治療)は出来ないことは、もともと、当たり前のことです。医療一般の場合には本人(場合によっては、保護者やそれに相当する人)が決めることなのです。

しかるに、コロナPCR検査の結果をもって、受検者本人への強制力だけでなく、その受験者の属している集団の人々全体への強制力を発揮することは当たり前のことでは決してないはずです。これは、「きれいごと」の人権・民主主義とかのスローガンではなくて、実際に国家としての大変重要な問題だと思うべきです。

これは、ことが「感染症」という厄介な問題であるからの強制力発揮ということなのは僕もよく認識しています。しかし、線引きが間違っていると思います。「戦争」や「日本沈没(小松左京の小説)」などの場合は、この線引きは個人制限の方に最大限にシフトするでしょう。しかし、現在までの日本の状況において(世界のことはもともと敢えてあまり議論をしないようにしています)、多くの人々の自由な生活をこれほど大きく・長く制限することは、物事の判断を基本的に誤っているというのが僕の考えです。

そういうことに加えて重要なことは、医学専門家の答申している対策・手引き・ガイドラインはその効果がどれくらいあるか、実は、誰も今の時点では不明なのです(場合によってはマイナスのこともあると思います)。

ワクチンについても、インフルフルエンザの場合は長らく1回接種に誰も疑問を持たなかった(個々の専門家は別として)。新型コロナのワクチン接種の場合では、当初は2回以上の議論は聞いていない、それが、2回で当たり前のようになり、最近では3回と言い出して久しくなろうとしています。専門家の効果予想が大きく外れているからなので、「もう、そういう話は信用できない」という話になってもおかしくないはずです。専門家を馬鹿だと言っているのではなく、誰にも判らないから仕方がないということです。しかし、判った風な話をする専門家は「馬鹿」であって、かつ、「犯罪的」だと僕は思うのです。現在において新型コロナで断定的なことを言い募る医学専門家は国家規模の大きな事象については「実は、わからない点がある」ということを真摯に考え直さないいといけないと思います。

あの名前も恐ろしかった2003年の「SARS=重症急性呼吸症候群」は案外早く消退してくれましたが(日本には来なかったという結論になっている)、どこかの政府の対応が飛びぬけて正解だったのでしょうか? そうではなかったはずです。専門家も誰も良く判らないと思います。判らない間は慎重に最大限の関心を維持しながら、「様子見」をすることからは始めなくてはならない。直ぐに対策を取ることがあってもよいが、最初は「副作用」の少ない対策を取らないといけない。よく判らない間は「省エネ」対応をしておこうが正解ということです。 

僕は、随分前から「マスクを必要と考える場合以外はするべきではない」と言い続けてきました。狭い室内の場合は別にして、大変広い建物内や、特に、戸外の状況の場合で、マスクをしなかったら(それが有史以来の状況だ)、少量ずつの抗原の自然暴露による、本来の望まれるべきワクチン効果がかなり前から有効になっていたのではないかという議論に対して明確に否定できる免疫専門家はいるのだろうか。僕は、いないと思います。

効果が不明な現行のワクチンより、現実的には余程の効果があった可能性はあると思います。僕は、ワクチンを全否定するものではありませんが(それなりの個別的効果はあると思います)、予防効果は関係者が主張するほどは明確ではないし、製薬会社や医療関係のビジネス関係者その他に莫大な利潤が転がり込み、それに関与する政治家に利益が生まれることだけがはっきりしています。

今のマスク禍、すなわち、ホモ・マスクス(homo maskus)現象は僕にとっては多くの間違いの一つと思っています。マスクのことについては以前も何度か議論していますが、近く、また重ねて議論をしたいと思います。



2021年8月13日金曜日

米国CDC「現行のコロナPCR検査の適用は年内で終わる」という記事

最近、CDC(米国疾病予防センター)が「現行のコロナPCR検査は年内で終了して、マルチプレックスアッセイという検査に移行すると発表したという複数の記事がユーチューブでみられるようになった。この記事を見たので、急にこのタイトルの投稿を入れることした。

ユーチューブの中では、そのオリジナルはどうも8月5日の「真実の報道 エポックメディア NEWS」の「米CDC、PCR検査の取りやめを決定、新たな検査法を推奨」という記事のようだ。これは、ネットニュースサイトの「大紀元・EPOCH TIMES」で書かれた8月3日付けの同タイトルの記事をそのままユーチューブに掲載したものだ(https://www.epochtimes.jp/p/2021/08/76692.html)。

その内容は以下の通りだった。

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「米疾病管理予防センター(CDC)は721日、新型コロナウイルスについて、「PCR検査を推奨しない」とする新たなガイドラインを発表した。今後は新型コロナウイルスとインフルエンザを区別できる「マルチプレックスアッセイ」という検査法を推奨するとしている。

PCR検査を巡っては、その精度を疑問視する声が当初からあった。ウイルスの検出に必要なサイクル数(Ct値)に国際的な標準はなく、数値が高ければウイルスが少なくても陽性と診断されるからだ。また、死んだウイルスの断片と生きた感染性ウイルスを区別できない場合もあり、偽陽性のリスクが高まるという懸念もあった。

CDCは昨年11月、PCR検査の基準値について、「患者のウイルス量や感染力、隔離期間を判断するために使用すべきではない」と説明している。

世界保健機関(WHO)も今年120日に、新型コロナウイルスの診断についてはPCR検査と並行して患者の既往歴や疫学的な危険因子も考慮すべきであると伝え、「ほとんどのPCR検査は診断の補助である」とするガイドラインを発表している。

米CDCは新たな検査法「マルチプレックスアッセイ」について、感染症の急性期にある人から採取した「上気道または下気道の検体から、SARS―CoV-2(新型コロナウイルス)、インフルエンザウイルスA型、B型のRNAを検出し、識別できる」と説明している。米CDCは20211231日以降、PCR検査の「緊急使用許可申請」を取り下げ、マルチプレックスアッセイを含む新たな検査法に移行するとしている。

(翻訳編集・郭丹丹)

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これに対してのヤフー検索でヒットした「Q&A」欄における回答に「これはデマだ」という書き込みが複数あって、肯定的な返答はなかった。デマであるという回答者は「コロナPCR検査が終わるというのはデマ」ということらしい。しかし、この「大紀元・EPOCH TIMES」というサイトは政治的な方針を持っているサイトだと思われるが、いい加減なことを書くところではないと思っているので、僕としてどう判断できるのか直ぐには判らなかった。そこで、リンクを張ってあるCDCのオリジナルな声明(2021年7月21日付けのラボアラート:SARSーCoVー2テスト用のCDC RT-PCRへの変更)を読むことにした。

すると、現行の新型コロナPCR検査の代わりに、採取した検体から、新型コロナ・A型インフルエンザ・B型インフルエンザの3つを一度にPCR検査としての検査をしてしまおうということらしい。その対処として、「マルチプレックスアッセイ」という技法を利用しようということらしい。一般に、この技術は複数の企業が受注宣伝をしているような既に応用されている技法らしい。

もしそうであるなら、質的には、新型コロナに対するPCR検査自体は、この技法を援用して続行するということで、大紀元ニュースは、医学の専門家ではないということから、解釈が違ってしまったのだろうと僕は思った。「デマ」というのは、言い過ぎだと言っておきたい。

ただ、新型コロナPCR検査の製品改良は経時的に行われて然るべきだが、質的には続行するということだろう。では、何故、より手間のかかる技法を用いて、新型コロナだけでなくA・Bインフルエンザを検査するパターンを推奨するのだろうか。現在のパターンのコロナPCR検査に問題があることを認識していることを示していると僕は思った。

 

僕は、以前から考えていたことと関係があるのかもしれないと思った(違うかもしれないが)。日本だけでなく米国でも、新型コロナ騒動の期間にはインフルエンザ陽性者は激減している(日本では数桁も少ない)。これは、大いに目を引く現象だと思われる。この説明として、①マスク着用により多くの病原ウイルスを遮断した、②新型コロナ感染による交差免疫の効果による、の二つのことが多くの人から述べられている。僕は、どちらの説明も質的には解釈可能であっても、量的には説明しきれないと思う。別の言い方をすると、現実にはどの程度の減少効果があるのか判らない=科学的にはデーターがない、それらしいという感想が大きい。そして、僕にはそのような感想は持てない。 

マスクについては、日本ほど着用比率が高い国はないし、日本でも、どの程度の減少効果がマスクに依るのかは定かではない。そう主張したり推奨したりする医師や医学者は自分たちが主張している程には定量的なデーターを持っていないはずだ。僕には、多少ともだが、彼らにポピュリズムの臭いがする。(僕は、マスクを全面否定するものでなくて、合理的なパターンで適用すべきだと主張してきたが、次の投稿でも再度議論したい。)

交差反応説への反論としては、じゃあ、毎年の冬季を中心にインフルエンザが流行っているのに、2020年の冬季から春季にかけて新型コロナ騒動がどんどん拡がっていったこととの整合性は如何にということだ。免疫学の基本としては、交差反応は場合によっては一方通行がありうるかもしれないが、通常は双方向性と考えてようと思われる。そうすれば、日本では年間数千万人ものインフルエンザ感染者が生じるとされているのだから、交差免疫効果が作動しているのであれば、新型コロナの大流行はそもそも起こらないことになる。そして、逆に、例年のインフルエンザ感染者数に比べて、新型コロナ感染者数の実数はそんなに多くないのであるから、新型コロナ感染にかかわる交差免疫反応効果によってインフルエンザ感染が2桁も少なくなるなどとは到底考えられないはずだ。それ故、交差免疫効果での説明でも無理がある。 

以上から、2021年冬季以後のインフルエンザ感染者数が極端に少なかった理由のかなりの部分は別のところにあると思っている。

 

端的に言って、コロナ騒動の間には、例年のインフルエンザ簡易抗原検査の実施件数が極端に減ったのが原因だと僕は思っている。厚労省やその他のサイトの資料を見て回っても、インフルエンザ検査陽性者数が極端に減った数字だけが記載されていて、陽性率は書いていない。すなわち、被検者総数には今のところアクセスできていない。

新型コロナ感染については、マスコミがこの陽性者数 被験者数の比率を書かずに陽性者数だけを書いて騒動を煽っているが、別の次元で、インフルエンザにおいても同じ誤りをおかしている。それは、全体像が見えないパターンの資料提示であるということだ。 

この1年余の間では、風邪症状が出てもインフルエンザのことが頭に登らないで、コロナのことばかりが気になるパターンとなっているはずだ。インフルエンザ検査総数を見ることができれば、このことははっきりするが今のところ推論でしかないのが残念だ。 

来年からCDCがマルチプレックスアッセイを推奨することにより、僕は、インフルエンザ陽性者がそれなりに正しく増えてくると予想している。同時に、新型コロナ陽性者の一部においては発症した風邪様症状の原因が新型コロナであるとは断定できなくなるのではないかと予想している。CDCもこのことに気付いて同時複数の検査を行う方が、実態以上のコロナ騒ぎを多少でも正しく鎮静化できるのではないかと考えたのではないだろうか。CDCの正式の考えはそうでなかったとしても(CDCは「特にインフルエンザが流行する冬季の場合などに、マルチ検査をすることで時間と検査資源が節約できるから」としか言っていない)、僕はそうなるのではないかと思う。    

ただ、こういう方向は、検査に投入する費用がどんどん嵩んでいくことになるので、こういう流れが単純によいことと考えてはいけないと思う。先に、一般意味論的な考えを参考にして、頭を冷やすことも大事ではないかと思ってしまう。

 

PCR検査陽性者と感染者と重症者との関係 そして インフルエンザとの関連

 この内容については1年前からの本ブログにおいて既に述べており、この1年間でその議論の訂正の必要はほとんどなかったと自覚している。次のブログで、自分としての考えを確認・整理してみたい。

 

2021年8月12日木曜日

現状のコロナPCR検査結果で判ること(「公的な」ネット公開資による)(続編)感度80%、特異度99.9% の場合

 この1年余のコロナPCR検査問題の総括=不適切さは単純明快だ (その3) 

現状のコロナPCR検査結果で判ること(「公的な」ネット公開資による)(2021.06.08投稿)における前提条件(感度70%、特異度99%)をもっと優秀な下記に変更した場合について、その結果の変更部分を青色文字にして再投稿してみた。

この前提条件については、僕には実際は判らないのだけれども、この程度の優秀な検査であるという情報に接することが多くなったと感じている。僕にとって決定的なことは6月8日の投稿に述べたように、厚労省のネット資料における「空港、海港検疫」の70万人を超す検査データーの結果を僕なりに分析してみると、少なくとも特異度については99%よりももっと優秀なものであるはずだという結論になっていた。


感度80%、特異度99.9% で議論した場合 

検査データーの読み方のイロハ(感度・特異度・陽性的中率・陰性的中率)

 前回の投稿での初めの部分で述べたことを、ここで、もう一度確認してみようと思う。それによって、次節からの議論を判りやすくしたいと思う。現在のコロナPCR検査における精度・信頼性の問題は、純粋に算数的な因子に整理還元することができる。つまり、基本的には、①感度と②特異度という2つの因子に依存しており、さらには、③被検者集団の真の(現実の)陽性率の多寡にも少なからず影響を受けている。つまり、3つの因子で計算の上で明らかになる。

 

  PCR検査の陽性者率(陽性者数 検査実施者数)を明示しているデータ

 一般新聞やテレビ報道においては、この(陽性者数 検査実施者数)、つまり「陽性者率」というデーターを一切報道していない。そして、PCR検査の陽性者数だけをセンセーショナルにアジテートして、日本を集団ヒステリーに導いているように僕には思われる。しかも、PCR陽性を感染陽性と同義に扱っているという誤りもおかしている。

 新聞やテレビしか見ていない人は自分がいかに洗脳されているのかを考えたほうがよいと思う。ネット情報は非常に玉石混合であることは疑いがなく、特に若い人々には偏った考えにならないか僕は心配するところもある。ただ、多くのデーターを自分で吟味して取捨選択できるという利点がある(ただ、最近では、YTやFBやツイッターなどで運営側による検閲と削除という大手マスコミと似たり寄ったりの行状が知られるようになっているが、それでも大手マスコミよりはましだ)。僕の世代の前後の多数の高齢者は新聞とテレビからだけの情報しか得ていないので、こちらの方の不都合が大き過ぎると思われる。しかも、こういうポピュレーションの選挙投票率が高いという「問題」がある。

 厚労省・東京都・NHK・日本経済新聞(日経)の4つのホームぺージだけについてみてみたが、いずれも経時的な種々のPCR検査に関するデーターや重症者数や死亡者数のデーターを示していることを遅まきながら知った。このうち、陽性者率(陽性者数 検査実施者数)を個別データーとして経時的に示しているのは、厚労省と東京都の公的なものだけのようだ。この二つともその数値は、時期により多少の変動はあるにせよ、ほぼ常に5%前後らしい。日経データーにおいてもそれは3~5%くらいで変動しているようだ。NHKのデーターは、直接データーは見当たらなかったし、間接にもよく判らなかった。この観点に関心がないのか、敢えて示したくないのかどちらなのだろうと思った。

 PCR検査の精度が、感度80%・特異度99.9%の程度だとされていることを前提に、再度、ここで実態を計算してみた(2つ前の「この1年余のコロナPCR検査体制の総括=不適切さは単純明快だ(その1)」参照)。

 検査結果としての凡そ陽性率が5%ということからの取っ掛かりとして、 

 想定上の陽性率が5%の集団にこの検査をおこなった場合(1万人対象で): 

 本当の陽性者500人・本当の陰性者9500人のはずだ。

 そうすると、検査上の結果は、感度と特異度に基づく簡単な計算により、

     真陽性400人・偽陰性100人

     真陰性9490人・偽陽性10人

 よって、検査上の陽性者率は400+10/10000=約4%

    (なお、陽性的中率=400/10+400=97.6 

              陽性非的中率10/10+400=2.4%)

 なお、想定上の陽性率をそれぞれ、0・2.5・5・7.5・10・100%

の各値でこの計算を行ったところ、いずれの場合でも検査上の陽性者率計算値とは大きい差はなく、方眼紙でプロットしたところ直線関係にあった。なお、想定上の陽性者率が3.5%の時に両者は一致した。そして、想定上の陽性者率がそれより低い領域では検査上の陽性者率がやや高目になり、高い領域ではやや低目になる。

 すなわち、検査結果から出てきた陽性者率は、その集団全体の想定上(実際)の陽性者率とほぼ一致するという算数的な構造に落ち着くことになる。ちなみに、集団における想定上の陽性率がゼロ%と百%という極端な場合でも、検査上の結果から得られた陽性率はそれぞれ1%と80%という、それほどかけ離れた値にはならない(繰り返すが、この数値自体は、感度80%・特異度99.9%の場合のものだ)

 実際の陽性者率が僅かな集団を検査すると、とんでもない値の偽陽性者率が増えてくるということは既に強調してきたところだ。ところが、ここで議論したことから判ることは、それにもかかわらず、集団全体の実際の(真の)陽性者率は検査結果の全体の陽性率とほぼ同じということで、重要な参考になりうるということだ。この二つの数値はお互いに矛盾するものではなく、同居している。

 公表資料によると、その陽性者率の値は約5%(20人に1人)であるのが現在までのかなり長い期間における日本の状況であるということだ。もちろん、完全なアットランダム集団に検査を行ったのではなくて、いわゆるクラスター集団やハイリスク状況と思われている集団の場合が多いと思われるが、そうでもない集団もかなり含まれていることも事実だろう。ともかく、厚労省のデーターによると、既に1千5百万人に迫る検査数(同一人に複数回の検査機会が含まれているとはいえ)が登録されおり、それに基づくデーターの全体の状況が5%(20人に1人)に近い陽性者率となっているということだから、大凡はそういうことになる。

 いずれにしても、日本国内においては、もう長期にわたって陽性者率がほぼ5%で安定しているということは、「この新型コロナウイルスは基本的には全国に拡散してしまったのである」と解釈すべき余地が十分にあると思われる。しかも、全死亡者数は冷静に考えるとかなり少ない」のだから、もう生活や生命を強力に圧迫して人々を不幸にする社会規制を止めるべきであることを政府は真剣に考える必要がある。遅まきながら、大凡は、インフルエンザ並みになっていると判断し直さないといけない。インフルエンザも常から変異株が生じているし、時には「新型インフルエンザ」として大きく注目されることはあったが、ロックダウンや強制的な抗原検査や強制的なワクチンや強制的なマスクなどは行われたことはなかったではないか。マスコミと無責任野党とそれらの勢力が便利に使う世間知らずのあるいは社会全体のことを考える能力のない医学研究者にどう対処するかは難しいことだと思われるが、政府は責任を果たしてほしい。

 いずれ、議論する予定だが、どれほどの効果があるか判らないコロナワクチンを、泡を食ったような状況でしまくる必要性があるようには僕には思えない。既に、このようにウイルスが日本の国内に広まっていて、知らない間にこのウイルスに触れているポピュレーションはかなりあるのではないかと思われたからでもある。ワクチン集団接種の会場を強引に確保するために、他の社会インフラに用いるべき大量の施設を流用することが決められていきつつあるが、コロナ以外の生活をここまで無視すべきなのか? 特に、医学関係者には思い上がりを自分で戒めて、広い視野を持っていただきたいと思う。医療というものは確かに非常に重要であるが、多くの人間社会の中の一つの部門・領域に過ぎないという面も考えないといけないと思う。「非常事態」なら話は別だが、どこが「非常事態」なのだ。悪い意味でのポピュリズムではないか。

 飛行機や船での入国者におけるPCR検査陽性率は驚くようなデーターだった

                         (2021.6.8の記事)

 厚労省のネット資料には「空港、海港検疫」と「チャーター便帰国者事例」との2つデーターも大変判りやすく発表されている。前者のPCR検査陽性者率は、2988/712411で、1%未満(0.2%)だったし、後者のそれは、15/829で、2%だった。これらの数値は、国内の平均陽性者率の約5%と比較しては非常に少ない値だ。

この号を含む最近の3つのブログにおいて行った簡単な計算結果から理解できるように、「空港、海港検疫」の70万人超の検査対象者においては真の陽性者は検査上の陽性者の4分の3であって、残りの4分の1は偽陽性だったということだ(算数上=集団を扱う科学上、検査陽性者総数の2988人は特異度99.%に規定される偽陽性者と計算される数の712人の4倍程度だ)。・・・・・。そして、「チャーター便帰国者事例」の829人の検査対象者の検査陽性者については、このデーターに近い値であった可能性が大きいと思われる(検査の特異度99.9%からの計算上では、偽陽性者は0.1%を占めているに過ぎないから)。

この事実を認識した上で、当局は対応をすることが望まれる。最も大事なことは、海外からの入国者や帰国者におけるPCR検査陽性率は国内生活者に比較して大変少なかったという事実を国民に知らせるべきだ。特に、「空港、海港検疫」では国内の25分の1の陽性者率という少なさだった。ここでは、海外からの変異株のことは議論できないが、日本において現実の脅威になるという確定的な証拠はないのである(いずれにしても、ゼロリスク目標などととんでもないことを言い出したら話は別であるが)。

 僕はオリンピック第一主義者ではないが、強力な西欧勢力が五輪を開催せよという意向なのだから(日本政府も「国益」のために開催したいと思っているのだろうが、世界を支配している西欧の勢力が開催反対なら開催は無理だ)、国家としての日本はよほどのことがない限り開催に進むしかないだろうと思う。そこに大いに怪しい国際上の金銭の悪徳がからんでいるとしても(からんでいるからこそかもしれない)。世界の政治力学に無頓着や無知でなければ、そういうことになる。それが嫌なら、独立国家として自立できる国の体制を整えなければならない(特に、節度あるが一定レベル以上の軍事・諜報機能だが、むしろむしろそれよりも、実質上でGHQによって作られた「被統治国憲法」の是正が本筋だ)。しかるに、左巻きのマスコミと野党に対峙できない日本の政府はこのことを進めることが戦後ほとんどできないでいる。

 それもそうだが、五輪に人生をかけてきた少なくない数のアスリートのことを思うと、開催させてあげたいと僕は思う。例えば、研究者の方がアスリートよりも立派なんて誰も言えないはずだ。素晴らしいプレーによって多くの人たちが感銘を受けることができる。スポーツで頑張る人たちも僕は応援したいと思う。その代わり、アスリートはあまり偉そうな発言をしない方がよいと思う(誰かが発言しているということを言っているのではないので、念のために)。税金まがいの国家などからの援助を沢山受けているのだから。

 PCR検査陽性者と感染者と重症者との関係

 この内容については1年前からの本ブログにおいて既に述べており、この1年間でその議論の訂正の必要はほとんどなかったと自覚している。次のブログで、自分としての考えを確認してみたい。

現行のコロナPCR検査を「5年前にすれば」どういう結果だったか? (続編)感度80%、特異度99.9% の場合

 この1年余のコロナPCR検査体制の総括=不適切さは単純明快だ(その1) 

 現行のコロナPCR検査を「5年前にすればどういう結果だったか?」

コロナPCR検査を「真の陽性者ゼロ」の集団に実施した場合(2021.05.22投稿)

における前提条件(感度70%、特異度99%)をもっと優秀な下記に変更した場合について、その結果の変更部分を青色文字にして再投稿してみた。

 この前提条件については、僕には実際は判らないのだけれども、この程度の優秀な検査であるという情報に接することが多くなったと感じている。僕にとって決定的なことは6月8日の投稿に述べたように、厚労省のネット資料における「空港・海港検疫」の70万人を超す検査データーの結果を僕なりに分析してみると、少なくとも特異度については99%よりももっと優秀なものであるはずだという結論になった。

 そのような超優秀な検査精度であったとしても、その結果の議論の大筋には根本的な変わりはないということが重要だと思われる。


感度80%、特異度99.9% で計算した場合


現行のPCR検査は、感度が80%、特異度が99.9%

被検者の属する母集団に真の陽性者がいない場合、

その計算結果は、1万人に検査をすると、

検査陽性者 10人(全員が偽陽性者)となる。

これは、5年前の過去に(今回の新型コロナはまだ発生していない & 新型コロナに対する現行のPC検査は技術的に作れない)、現行の新型コロナに対するPCR検査をタイムスリップして持って行って、これを実施した場合でも同じことになる。日本の1億人に検査したとすると、十万人もの多数が陽性になる。実際には、真の陽性者は存在しないのに。無差別に広く検査をしてしまうと、無視できない程度のウソの陽性者ばかりが出てしまうということが明らかだ。      

どんどん検査を広めようという専門家は頭が狂っているのではありませんか。いわゆるクラスター関連の場合などの濃厚感染のリスクの高い集団にのみ、それも条件次第でのみ(その条件は、別の機会に述べたい)、許可されるべきものだ。その場合でも、スクリーニング検査というものは、偽陽性の紛れ込みを意図的に無視するかのようなことは許されるべきではない。

しかし、広く検査をした場合だけに問題が起こるということではなくて、散発的におこなった個々の検査結果には確率的に千分の一の偽陽性が出る(特異度が99.9%の場合にはそうなる。なお、99%の場合は百分の一になる)というあいまいさは厳然として存在する。

いずれのスクリーニング検査にもこうした無視できない誤判定がある。こういう非確定の検査結果でもって、まるで確定的な結果であるかのごとく判定して、個人や所属する集団の行動を厳しく制限してはいけない。コロナにおける非常事態というのなら、「死亡者数と重症発病者が非常に多い」 ことでなければならない。しかしながら、1年余にわたって日本はそうではない状況だ。問題は、非常事態とはいえない状況なのに「度を超した」制限や強制をおこなう権利が誰にあるのだろうか。形式的には政府のはずだが、実際はマスコミにそういう権利があるらしい。

現行のコロナPCR検査の一般的現況(おまけ)

現行のPCR検査は、感度が80%、特異度が99.9%

被検者の属する母集団に「真の陽性者」が1%(百人に1人)の場合に、

1万人に検査をした時の結果は(真の陽性者は100人)、

検査陽性者 90人(10人の偽陽性者+80人の真陽性者)

検査陰性者 9910人(20人の偽陰性者+9890人の真陰性者)

検査結果からの偽陽性率は、11%(10/90)

検査結果からの偽陰性率は、0.2%(20/9910)

このような非常に優秀な検査であっても、陽性者の1割は実は偽陽性である。一方、偽陰性率はもっと少なくて、500人に1人となる。コロナPCR検査がこのように非常に優秀な検査であっても、僕の議論は、実は、質的にはほとんど変わらないのである。被検者に対する強制力と被検者が属する集団全体に対する強制力の行使にはやはり大きい問題があるからだ。

さらに「おまけ」を書くとすると、

その母集団の「実際の陽性率」がもっと少ない0.1%(千人に1人)の場合に、

 1万人に検査をした時の結果は(真の陽性者は10人)、

検査陽性者 18人(10人の偽陽性者+8人の真陽性者)

検査陰性者 9982人(2人の偽陰性者+9980人の真陰性者)

検査結果からの偽陽性率は、56%(10/18)

検査結果からの偽陰性率は、0.02%(2/9982)

その母集団の「実際の陽性率」がもっと多い10%(十人に1人)の場合に、

1万人に検査をした時の結果は(真の陽性者は1000人)、

検査陽性者 809人(9人の偽陽性者+800人の真陽性者)

検査陰性者 9191人(200人の偽陰性者+8991人の真陰性者)

検査結果からの偽陽性率は、1%(9/809)

検査結果からの偽陰性率は、2%(200/9191)

 

(注記)日本災害看護学会のHPに掲載の「新型コロナQ&Aその27」には、判りやすい説明がある。その中に、参考記載として「日本感染症学会では感度90%以上、特異度ほぼ100%としているが、その根拠資料は中華人民共和国の2つのデーターで、特異度が100%のものと98.6%または90.0%のものだった」とあった。そのうえで、このHPでは、「ここでは、感度70%、特異度99%としておく」とあった。この程度の値が大方の考えのように僕にも思われる。なお、僕からすれば、この重要な特異度について「ほぼ100%」という日本感染症学会の記述は多少認識が悪いと思われる。ここでは気安く「ほぼ」は使ってほしくない。それは、99%なのか99.9%なのか99.99%なのか判らないが、これによって対数的に偽陽性率が増減するからだ。例えば、~98.6%~とか無理やりでも数値を入れてほしい。(追加)2020年当初からの、この検査の非常に重要な精度の根拠が、中華人民共和国の発表した資料だけに依存して、それをそのまま公的サイトがコメントなしで拡散しているということに僕は驚きを禁じ得ない(2021.08.13)。

(追記)2021年6月8日の投稿(この1年余のコロナPCR検査問題の総括、その3)を議論した結果、自分としてのコロナPCR検査の信頼度を、感度80%、特異度99.9%として取り扱うように変更した。

大変重要なことに、もし検査の特異度が本当に100%であったら(偽陽性はゼロ)、その時点で、僕を含む、現行のコロナ検査の適用に対して批判を行っている論者の根拠は「ほぼ」なくなってしまうことになると思う。

(注記)日本免疫学会のHPにも同様の「新型コロナQ&A」のコーナーがあるが、「PCR検査の感度は?」についての記述は「検査自体以外の要因の影響が大きいこともあり、一概に感度は何パーセントとは言いきれないのが実情」とある。これは、実態をよく知っている専門家ならではのさすがの発言と思われる(僕も、インフルエンザ検査の検体採取をナースに委ねないで自分で行ってきた経験上、それを実感している)。しかし、特異度については言及がないことに僕は疑問を感じる。世間の「感度はどのくらい正確なのか? 」という偽陰性の心配だけに迎合していると思われる。偽陰性の問題は確かに重要だが、偽陽性の扱いの方が現状でははるかに問題であるという議論の僕からみれば、この学会の認識は多少悪いと思った。なお、僕は今でも日本免疫学会と日本癌学会の会員で、50年間も年会費を払い続けている。

(注)また、概念としては確かな「真の陽性者」とか「真の陰性者」自体がすべて確定されることは難しいと思われるので、結局は、感度・特異度の確定値は得られるはずもなく、推定値にとどまると思われる。