2021年8月13日金曜日

米国CDC「現行のコロナPCR検査の適用は年内で終わる」という記事

最近、CDC(米国疾病予防センター)が「現行のコロナPCR検査は年内で終了して、マルチプレックスアッセイという検査に移行すると発表したという複数の記事がユーチューブでみられるようになった。この記事を見たので、急にこのタイトルの投稿を入れることした。

ユーチューブの中では、そのオリジナルはどうも8月5日の「真実の報道 エポックメディア NEWS」の「米CDC、PCR検査の取りやめを決定、新たな検査法を推奨」という記事のようだ。これは、ネットニュースサイトの「大紀元・EPOCH TIMES」で書かれた8月3日付けの同タイトルの記事をそのままユーチューブに掲載したものだ(https://www.epochtimes.jp/p/2021/08/76692.html)。

その内容は以下の通りだった。

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「米疾病管理予防センター(CDC)は721日、新型コロナウイルスについて、「PCR検査を推奨しない」とする新たなガイドラインを発表した。今後は新型コロナウイルスとインフルエンザを区別できる「マルチプレックスアッセイ」という検査法を推奨するとしている。

PCR検査を巡っては、その精度を疑問視する声が当初からあった。ウイルスの検出に必要なサイクル数(Ct値)に国際的な標準はなく、数値が高ければウイルスが少なくても陽性と診断されるからだ。また、死んだウイルスの断片と生きた感染性ウイルスを区別できない場合もあり、偽陽性のリスクが高まるという懸念もあった。

CDCは昨年11月、PCR検査の基準値について、「患者のウイルス量や感染力、隔離期間を判断するために使用すべきではない」と説明している。

世界保健機関(WHO)も今年120日に、新型コロナウイルスの診断についてはPCR検査と並行して患者の既往歴や疫学的な危険因子も考慮すべきであると伝え、「ほとんどのPCR検査は診断の補助である」とするガイドラインを発表している。

米CDCは新たな検査法「マルチプレックスアッセイ」について、感染症の急性期にある人から採取した「上気道または下気道の検体から、SARS―CoV-2(新型コロナウイルス)、インフルエンザウイルスA型、B型のRNAを検出し、識別できる」と説明している。米CDCは20211231日以降、PCR検査の「緊急使用許可申請」を取り下げ、マルチプレックスアッセイを含む新たな検査法に移行するとしている。

(翻訳編集・郭丹丹)

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これに対してのヤフー検索でヒットした「Q&A」欄における回答に「これはデマだ」という書き込みが複数あって、肯定的な返答はなかった。デマであるという回答者は「コロナPCR検査が終わるというのはデマ」ということらしい。しかし、この「大紀元・EPOCH TIMES」というサイトは政治的な方針を持っているサイトだと思われるが、いい加減なことを書くところではないと思っているので、僕としてどう判断できるのか直ぐには判らなかった。そこで、リンクを張ってあるCDCのオリジナルな声明(2021年7月21日付けのラボアラート:SARSーCoVー2テスト用のCDC RT-PCRへの変更)を読むことにした。

すると、現行の新型コロナPCR検査の代わりに、採取した検体から、新型コロナ・A型インフルエンザ・B型インフルエンザの3つを一度にPCR検査としての検査をしてしまおうということらしい。その対処として、「マルチプレックスアッセイ」という技法を利用しようということらしい。一般に、この技術は複数の企業が受注宣伝をしているような既に応用されている技法らしい。

もしそうであるなら、質的には、新型コロナに対するPCR検査自体は、この技法を援用して続行するということで、大紀元ニュースは、医学の専門家ではないということから、解釈が違ってしまったのだろうと僕は思った。「デマ」というのは、言い過ぎだと言っておきたい。

ただ、新型コロナPCR検査の製品改良は経時的に行われて然るべきだが、質的には続行するということだろう。では、何故、より手間のかかる技法を用いて、新型コロナだけでなくA・Bインフルエンザを検査するパターンを推奨するのだろうか。現在のパターンのコロナPCR検査に問題があることを認識していることを示していると僕は思った。

 

僕は、以前から考えていたことと関係があるのかもしれないと思った(違うかもしれないが)。日本だけでなく米国でも、新型コロナ騒動の期間にはインフルエンザ陽性者は激減している(日本では数桁も少ない)。これは、大いに目を引く現象だと思われる。この説明として、①マスク着用により多くの病原ウイルスを遮断した、②新型コロナ感染による交差免疫の効果による、の二つのことが多くの人から述べられている。僕は、どちらの説明も質的には解釈可能であっても、量的には説明しきれないと思う。別の言い方をすると、現実にはどの程度の減少効果があるのか判らない=科学的にはデーターがない、それらしいという感想が大きい。そして、僕にはそのような感想は持てない。 

マスクについては、日本ほど着用比率が高い国はないし、日本でも、どの程度の減少効果がマスクに依るのかは定かではない。そう主張したり推奨したりする医師や医学者は自分たちが主張している程には定量的なデーターを持っていないはずだ。僕には、多少ともだが、彼らにポピュリズムの臭いがする。(僕は、マスクを全面否定するものでなくて、合理的なパターンで適用すべきだと主張してきたが、次の投稿でも再度議論したい。)

交差反応説への反論としては、じゃあ、毎年の冬季を中心にインフルエンザが流行っているのに、2020年の冬季から春季にかけて新型コロナ騒動がどんどん拡がっていったこととの整合性は如何にということだ。免疫学の基本としては、交差反応は場合によっては一方通行がありうるかもしれないが、通常は双方向性と考えてようと思われる。そうすれば、日本では年間数千万人ものインフルエンザ感染者が生じるとされているのだから、交差免疫効果が作動しているのであれば、新型コロナの大流行はそもそも起こらないことになる。そして、逆に、例年のインフルエンザ感染者数に比べて、新型コロナ感染者数の実数はそんなに多くないのであるから、新型コロナ感染にかかわる交差免疫反応効果によってインフルエンザ感染が2桁も少なくなるなどとは到底考えられないはずだ。それ故、交差免疫効果での説明でも無理がある。 

以上から、2021年冬季以後のインフルエンザ感染者数が極端に少なかった理由のかなりの部分は別のところにあると思っている。

 

端的に言って、コロナ騒動の間には、例年のインフルエンザ簡易抗原検査の実施件数が極端に減ったのが原因だと僕は思っている。厚労省やその他のサイトの資料を見て回っても、インフルエンザ検査陽性者数が極端に減った数字だけが記載されていて、陽性率は書いていない。すなわち、被検者総数には今のところアクセスできていない。

新型コロナ感染については、マスコミがこの陽性者数 被験者数の比率を書かずに陽性者数だけを書いて騒動を煽っているが、別の次元で、インフルエンザにおいても同じ誤りをおかしている。それは、全体像が見えないパターンの資料提示であるということだ。 

この1年余の間では、風邪症状が出てもインフルエンザのことが頭に登らないで、コロナのことばかりが気になるパターンとなっているはずだ。インフルエンザ検査総数を見ることができれば、このことははっきりするが今のところ推論でしかないのが残念だ。 

来年からCDCがマルチプレックスアッセイを推奨することにより、僕は、インフルエンザ陽性者がそれなりに正しく増えてくると予想している。同時に、新型コロナ陽性者の一部においては発症した風邪様症状の原因が新型コロナであるとは断定できなくなるのではないかと予想している。CDCもこのことに気付いて同時複数の検査を行う方が、実態以上のコロナ騒ぎを多少でも正しく鎮静化できるのではないかと考えたのではないだろうか。CDCの正式の考えはそうでなかったとしても(CDCは「特にインフルエンザが流行する冬季の場合などに、マルチ検査をすることで時間と検査資源が節約できるから」としか言っていない)、僕はそうなるのではないかと思う。    

ただ、こういう方向は、検査に投入する費用がどんどん嵩んでいくことになるので、こういう流れが単純によいことと考えてはいけないと思う。先に、一般意味論的な考えを参考にして、頭を冷やすことも大事ではないかと思ってしまう。

 

PCR検査陽性者と感染者と重症者との関係 そして インフルエンザとの関連

 この内容については1年前からの本ブログにおいて既に述べており、この1年間でその議論の訂正の必要はほとんどなかったと自覚している。次のブログで、自分としての考えを確認・整理してみたい。

 

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