2021年8月12日木曜日

現行のコロナPCR検査を「5年前にすれば」どういう結果だったか? (続編)感度80%、特異度99.9% の場合

 この1年余のコロナPCR検査体制の総括=不適切さは単純明快だ(その1) 

 現行のコロナPCR検査を「5年前にすればどういう結果だったか?」

コロナPCR検査を「真の陽性者ゼロ」の集団に実施した場合(2021.05.22投稿)

における前提条件(感度70%、特異度99%)をもっと優秀な下記に変更した場合について、その結果の変更部分を青色文字にして再投稿してみた。

 この前提条件については、僕には実際は判らないのだけれども、この程度の優秀な検査であるという情報に接することが多くなったと感じている。僕にとって決定的なことは6月8日の投稿に述べたように、厚労省のネット資料における「空港・海港検疫」の70万人を超す検査データーの結果を僕なりに分析してみると、少なくとも特異度については99%よりももっと優秀なものであるはずだという結論になった。

 そのような超優秀な検査精度であったとしても、その結果の議論の大筋には根本的な変わりはないということが重要だと思われる。


感度80%、特異度99.9% で計算した場合


現行のPCR検査は、感度が80%、特異度が99.9%

被検者の属する母集団に真の陽性者がいない場合、

その計算結果は、1万人に検査をすると、

検査陽性者 10人(全員が偽陽性者)となる。

これは、5年前の過去に(今回の新型コロナはまだ発生していない & 新型コロナに対する現行のPC検査は技術的に作れない)、現行の新型コロナに対するPCR検査をタイムスリップして持って行って、これを実施した場合でも同じことになる。日本の1億人に検査したとすると、十万人もの多数が陽性になる。実際には、真の陽性者は存在しないのに。無差別に広く検査をしてしまうと、無視できない程度のウソの陽性者ばかりが出てしまうということが明らかだ。      

どんどん検査を広めようという専門家は頭が狂っているのではありませんか。いわゆるクラスター関連の場合などの濃厚感染のリスクの高い集団にのみ、それも条件次第でのみ(その条件は、別の機会に述べたい)、許可されるべきものだ。その場合でも、スクリーニング検査というものは、偽陽性の紛れ込みを意図的に無視するかのようなことは許されるべきではない。

しかし、広く検査をした場合だけに問題が起こるということではなくて、散発的におこなった個々の検査結果には確率的に千分の一の偽陽性が出る(特異度が99.9%の場合にはそうなる。なお、99%の場合は百分の一になる)というあいまいさは厳然として存在する。

いずれのスクリーニング検査にもこうした無視できない誤判定がある。こういう非確定の検査結果でもって、まるで確定的な結果であるかのごとく判定して、個人や所属する集団の行動を厳しく制限してはいけない。コロナにおける非常事態というのなら、「死亡者数と重症発病者が非常に多い」 ことでなければならない。しかしながら、1年余にわたって日本はそうではない状況だ。問題は、非常事態とはいえない状況なのに「度を超した」制限や強制をおこなう権利が誰にあるのだろうか。形式的には政府のはずだが、実際はマスコミにそういう権利があるらしい。

現行のコロナPCR検査の一般的現況(おまけ)

現行のPCR検査は、感度が80%、特異度が99.9%

被検者の属する母集団に「真の陽性者」が1%(百人に1人)の場合に、

1万人に検査をした時の結果は(真の陽性者は100人)、

検査陽性者 90人(10人の偽陽性者+80人の真陽性者)

検査陰性者 9910人(20人の偽陰性者+9890人の真陰性者)

検査結果からの偽陽性率は、11%(10/90)

検査結果からの偽陰性率は、0.2%(20/9910)

このような非常に優秀な検査であっても、陽性者の1割は実は偽陽性である。一方、偽陰性率はもっと少なくて、500人に1人となる。コロナPCR検査がこのように非常に優秀な検査であっても、僕の議論は、実は、質的にはほとんど変わらないのである。被検者に対する強制力と被検者が属する集団全体に対する強制力の行使にはやはり大きい問題があるからだ。

さらに「おまけ」を書くとすると、

その母集団の「実際の陽性率」がもっと少ない0.1%(千人に1人)の場合に、

 1万人に検査をした時の結果は(真の陽性者は10人)、

検査陽性者 18人(10人の偽陽性者+8人の真陽性者)

検査陰性者 9982人(2人の偽陰性者+9980人の真陰性者)

検査結果からの偽陽性率は、56%(10/18)

検査結果からの偽陰性率は、0.02%(2/9982)

その母集団の「実際の陽性率」がもっと多い10%(十人に1人)の場合に、

1万人に検査をした時の結果は(真の陽性者は1000人)、

検査陽性者 809人(9人の偽陽性者+800人の真陽性者)

検査陰性者 9191人(200人の偽陰性者+8991人の真陰性者)

検査結果からの偽陽性率は、1%(9/809)

検査結果からの偽陰性率は、2%(200/9191)

 

(注記)日本災害看護学会のHPに掲載の「新型コロナQ&Aその27」には、判りやすい説明がある。その中に、参考記載として「日本感染症学会では感度90%以上、特異度ほぼ100%としているが、その根拠資料は中華人民共和国の2つのデーターで、特異度が100%のものと98.6%または90.0%のものだった」とあった。そのうえで、このHPでは、「ここでは、感度70%、特異度99%としておく」とあった。この程度の値が大方の考えのように僕にも思われる。なお、僕からすれば、この重要な特異度について「ほぼ100%」という日本感染症学会の記述は多少認識が悪いと思われる。ここでは気安く「ほぼ」は使ってほしくない。それは、99%なのか99.9%なのか99.99%なのか判らないが、これによって対数的に偽陽性率が増減するからだ。例えば、~98.6%~とか無理やりでも数値を入れてほしい。(追加)2020年当初からの、この検査の非常に重要な精度の根拠が、中華人民共和国の発表した資料だけに依存して、それをそのまま公的サイトがコメントなしで拡散しているということに僕は驚きを禁じ得ない(2021.08.13)。

(追記)2021年6月8日の投稿(この1年余のコロナPCR検査問題の総括、その3)を議論した結果、自分としてのコロナPCR検査の信頼度を、感度80%、特異度99.9%として取り扱うように変更した。

大変重要なことに、もし検査の特異度が本当に100%であったら(偽陽性はゼロ)、その時点で、僕を含む、現行のコロナ検査の適用に対して批判を行っている論者の根拠は「ほぼ」なくなってしまうことになると思う。

(注記)日本免疫学会のHPにも同様の「新型コロナQ&A」のコーナーがあるが、「PCR検査の感度は?」についての記述は「検査自体以外の要因の影響が大きいこともあり、一概に感度は何パーセントとは言いきれないのが実情」とある。これは、実態をよく知っている専門家ならではのさすがの発言と思われる(僕も、インフルエンザ検査の検体採取をナースに委ねないで自分で行ってきた経験上、それを実感している)。しかし、特異度については言及がないことに僕は疑問を感じる。世間の「感度はどのくらい正確なのか? 」という偽陰性の心配だけに迎合していると思われる。偽陰性の問題は確かに重要だが、偽陽性の扱いの方が現状でははるかに問題であるという議論の僕からみれば、この学会の認識は多少悪いと思った。なお、僕は今でも日本免疫学会と日本癌学会の会員で、50年間も年会費を払い続けている。

(注)また、概念としては確かな「真の陽性者」とか「真の陰性者」自体がすべて確定されることは難しいと思われるので、結局は、感度・特異度の確定値は得られるはずもなく、推定値にとどまると思われる。

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